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東北復興、地域コミュニティと協働の新たなモデルづくり。2年振りに東北に行ってきました

GRAの「ICHIGO WORLD(イチゴワールド)」にて

東日本大震災により、主要産業であるイチゴ栽培も壊滅的な被害を受け、農園のほとんどが津波で流されてしまった宮城県沿岸部の最南端・山元町。

山元町で活動する地域団体や支援団体が集う「未来への種まき会議」の記事にも書いたとおり、2014年にも妻の茜( @AkaneSato )と夫婦2人で訪れているのですが、今回はソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)の皆さんと一緒に訪問してきました。

「G7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議」開催中の仙台駅「G7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議」開催中でした

 
鉄道、住宅などのインフラ面では復興が見え、次のステージに進みつつある山元町の様子を、写真を中心に簡単にレポートしたいと思います。

<参考:2年前の東北訪問時に書いたブログ記事>

夫婦2人で東北滞在、復興に関わり続ける理由が増えました
東北最大級のコワーキングスペース「cocolin」
女川における地域・民間・行政の協働のあり方
イトナブ石巻=「IT」×「イノベーション」×「営む」×「学ぶ」
ETIC.の右腕派遣プログラムで「愛さんさん宅食」にジョインした濱野さん
山元町で活動する地域団体や支援団体が集う「未来への種まき会議」

 

ICTを駆使した世界最先端のイチゴ農場「ICHIGO WORLD(イチゴワールド)」

 
GRAが運営する「ICHIGO WORLD(イチゴワールド)」にて

山元町に到着してまず向かったのは、GRAが運営する世界最先端のイチゴ農場「ICHIGO WORLD(イチゴワールド)」です。GRA代表の岩佐さんの書籍を目にされた方も多いかと思います。

震災でゼロになった故郷に最先端のIT技術を駆使した巨大イチゴ農園を建設し、生産されたイチゴは「ミガキイチゴ」として全国に出荷されています。

中でも最高級の「ミガキイチゴ プラチナ」は1粒1,000円で販売されるほど甘味、香り、食感が洗練されていますし、ミガキイチゴを用いたスパークリングワイン「ミガキイチゴ・ムスー」は僕も大好きで、贈り物にもよく使わせてもらっています。

ミガキイチゴを用いたスパークリングワイン「ミガキイチゴ・ムスー」妹のバースデーに贈った「ミガキイチゴ・ムスー」

 
今回イチゴワールド内を案内してくださったのは、グロービスを卒業後にGRAに参画した福島 雅史さん。磨かれた匠の技とICTを駆使し、徹底した管理のもとでイチゴをつくる流れについて丁寧にお話しいただきました。

GRAが運営する「ICHIGO WORLD(イチゴワールド)」視察1

すごくわかりやすい説明で、新しいチャレンジに取り組んでいらっしゃることが伝わってきて、とても刺激的な時間だったなぁ。

GRAが運営する「ICHIGO WORLD(イチゴワールド)」視察2 
集合写真も撮れてよかったです。

GRAが運営する「ICHIGO WORLD(イチゴワールド)」で福島さんとSVP東京の集合写真

時間の関係で、残念ながらイチゴ狩りは体験できなかったのですが…また来ようと思います。福島さん、ありがとうございました!
 
 
ちなみに、GRA代表取締役CEOの岩佐 大輝さんが登壇している 「稼げる農業」を実現するために何をすべきか というトークセッションが最近アップされていたので見たのですが、非常に面白かったです。

僕が先日宮崎でお会いした日南市長・崎田恭平さん も登壇しています。ご興味をお持ちの方はぜひ。
 
 

いちごづくしのメニューが盛りだくさん・山元いちご農園「Berry Very Labo(ベリーベリーラボ)」

 
イチゴワールドの次に向かったのは、すぐ近くの山元いちご農園内にある「Berry Very Labo(ベリーベリーラボ)」というカフェ。いちご農園が経営するカフェならではの、いちごをふんだんに使ったメニューを楽しむことができるお店です。

山元いちご農園「Berry Very Labo(ベリーベリーラボ)」のいちごピザ 山元いちご農園「Berry Very Labo(ベリーベリーラボ)」のいちごカレー

オーダーしたのは「いちごカレー」「いちごピザ」、そして「いちごパフェ」! 本当にいちごづくしでした。

山元いちご農園「Berry Very Labo(ベリーベリーラボ)」のいちごパフェ 
しかも偶然ですが、カフェ内に社長の岩佐 隆さんがいらっしゃったので、別室に移動してお話を聞かせていただきました。

地域の産業復活を牽引する思いで山元いちご農園をスタートしたこと、新商品の研究開発のこと、昨年末リニューアルしたWebサイトのこと、今後の展開について…など、多岐にわたるトピックスを凝縮してお話しいただき、想定以上の充実した時間となりました。

山元いちご農園「Berry Very Labo(ベリーベリーラボ)」

岩佐社長、急遽ご対応いただきありがとうございました!
 
 

山元町で活動する地域団体や支援団体が集う「山元の未来への種まき会議」

 
山元町で活動する地域団体や支援団体が集う「未来への種まき会議」

ちなみに、今回の訪問のメインイベントは「山元の未来への種まき会議」でした。なんと、今回で19回目!

2年前にも参加したので、ぜひ参加したかったのですが…僕は友人の結婚パーティーの予定があったので、泣く泣く断念しました。
(結婚パーティーは素晴らしかったし、すごく楽しかったです^^)

しかも、SVP東京の皆さんとその後まだ会えていないので、どのような場になったかも聞けていないのですが、以下のような投稿を発見しました。

山元町で活動する地域団体や支援団体が集う場が定期的にあるのってやっぱり素晴らしいと思いますし、子ども種まき会議の今後も楽しみです。次回の7月24日は難しいのですが、また別の機会に参加できるようにしたいと思っています。
 
 

農を学び、食を楽しむ新たな活動拠点「山元ミガキハウス」

 
また、今回の滞在でSVP東京メンバーが訪れた場所の一つに「山元ミガキハウス」があります。元りんご農家の大きな民家をリノベーションし、農を学び、食を楽しむ新たな活動拠点にしようということで、先日までクラウドファンディングに挑戦して、見事達成! 640万円以上の資金調達に成功しています。

さまざまな課題に直面しながらも、世界最先端のイチゴの施設園芸を中心として復興が進み、今では日本中、世界中から山元町で新しい農業を学びたいと多くの人が集まってくるようになりました。

一方、日本の農業人口は年々減少し、若者の農業離れが加速。イチゴの新しい栽培技術を学びたいと山元町を訪れる人たちも、滞在できる施設がないことが大きな課題の一つになっているようです。
 
だからこそ、宿泊はもちろん、会議にも使える複合施設としてリノベーションで新しく生まれ変わるというこの「山元ミガキハウス」構想には心から共感します。共同キッチン、コミュニティスペース、ベッドルーム、お風呂&シャワールームなどの機能を兼ね備える「山元ミガキハウス」は空き家の活性化事業でもあり、山元町の世代を超えたつながりから生まれたプロジェクト。山元町で農業を学び、山元町の豊かな食を楽しめる研修施設と宿泊施設を兼ねた「山元ミガキハウス」の完成が今から楽しみです。

農を学び、食を楽しむ新たな活動拠点「山元ミガキハウス」-Challenge Star/チャレンジスター

 

東北復興、地域コミュニティと協働の新たなモデルづくりへ

 
この記事の最後になりますが、僕たちがいま住んでいる日本は、環境問題や少子化、高齢化、地域の過疎化、エネルギー供給問題など、他国がまだ直面していないレベルの問題を多く抱える課題先進国。その中でも東北は、3.11の震災によって、何年も先だと思われていた課題に一気に直面することになりました。

他国をモデルとして参照することは難しいですが、それをいかに解決し、乗り越えていくかというプロセスは、後に諸外国のモデルとなり得るもの。それが2011年以降、東北で起きていることなのだと思います。

東北発 10人の新リーダー 復興にかける志

震災から5年が過ぎ、6年目を迎えた今、ハード面での「復旧」から、コミュニティの再生や産業の活性化といった、いわゆるソフト面での「復興」のステージに移行している様子を、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、体で感じることができました。

今回の東北滞在は本当にあっという間でしたが、とても濃密な時間になりました。お世話になった皆さん、本当にありがとうございました。
 
 
そして改めて。妻の茜(@AkaneSato)もこう書いてますし、僕たち夫婦は2人でトライセクターでより活躍できるよう、日々頑張っているつもりです。

政府にしか解決できない課題は年々減っており、民間や個人が関わり、解決する課題が増えてきていると感じます。また、グローバル化等でビジネスが複雑化し、企業間の競争も激化しているために、必要とされる人材の幅も広がっています。

企業、政府、非営利組織の境界は年々曖昧になってきており、持続的な発展のためには全てのセクターでの知見を集結させることが必要になってきているのだと思います。

企業、政治・行政、非営利組織の垣根を超えて活躍するトライセクター・リーダー(Tri-sector Leader)とは? より

ビジネスとしては引き続きループスで、NPOとしてはソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)やETIC.で。また個人としても、妻の茜の専門分野とも関わりながら、セクターを越えて価値を出していけるよう、これからも引き続き頑張ります。

皆さん、これからもどうぞよろしくお願いします!
 
 
<NPOのWebマーケティングに関して>

以下は昨年の夏に登壇したNPOサマースクールの講演スライドです。微力ではありますが、できる範囲でNPOの方々のお力になれればと思っていますので、何かあればいつでもお声がけください。


NPOサマースクール2015 公開用資料
 
 
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加藤たけし&佐藤茜(@AkaneSato)夫婦2人の情報発信

インターネット、マーケティング、テクノロジー、コミュニティデザイン、NPO、地域活性、海外、新しい働き方などのテーマにおいて、加藤たけし&佐藤茜( @AkaneSato )の夫婦2人で情報発信しています。

更新情報は以下からもぜひ。
 

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これからもできる範囲で記事執筆を頑張りますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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加藤 たけし
デジタルマーケティングのコンサルタント。民間企業の週3正社員&文部科学省 大臣官房 広報戦略アドバイザー(非常勤国家公務員)の官×民 複業中。慶應SFC卒。1歳児の父。育休7カ月。准認定ファンドレイザー。座右の銘:「ひとりじゃできないこと、みんなでやる。」より詳細なプロフィールや連絡先はこちら ↓
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