政治/行政

石破茂大臣やEvernote日本法人会長、全国7自治体の首長が語る「地方発ベンチャー立国」に向けての挑戦【イベントレポート】

スタートアップ都市推進協議会シンポジウム「ジャパン・スタートアップ・セレクション」

スタートアップ都市づくりに先進的に取り組んでいる全国の8自治体が主催するシンポジウム「ジャパン・スタートアップ・セレクション」に参加してきました。

約8時間にも渡る長丁場だったこともあり、全てのセッションに参加することは残念ながらできなかったのですが、参加した以下2セッション内容をダイジェストでお届けしたいと思います。

<シンポジウム第一部:トークセッション>
”国家戦略特区” 福岡を事例に考える官・民、国・地方の果たすべき役割
・内閣府副大臣 平 将明 氏
・エバーノート日本法人会長 外村 仁 氏
・福岡市長 高島 宗一郎 氏
・グロービス経営大学院学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 堀 義人 氏

<シンポジウム第二部:7自治体の首長リレースピーチ>
地方発、同時多発的なスタートアップ都市づくり
・三重県知事 鈴木 英敬 氏
・広島県知事 湯崎 英彦 氏
・千葉市長 熊谷 俊人 氏
・浜松市長 鈴木 康友 氏
・横須賀市長 吉田 雄人 氏
・奈良市長 仲川 げん 氏
・福岡市長 高島 宗一郎 氏

シリコンバレーや福岡のエコシステム、官・民・国・地方の果たすべき役割

平 将明 副大臣、Evernote日本法人会長の外村さん、福岡市長 高島さんが登壇したトークセッション
「”国家戦略特区” 福岡を事例に考える官・民、国・地方の果たすべき役割」がタイトルのこのトークセッションでは、平 将明 副大臣、Evernote日本法人会長の外村さん、そして福岡市長 高島さんが登壇し、グロービス堀さんがモデレーターでした。

シンポジウム第一部のトークセッションに登壇した平 将明 副大臣、Evernote日本法人会長の外村さん、福岡市長 高島さん、グロービス堀さん

セッションの最初に、国家戦略特区に選ばれた福岡市の事例を高島市長からプレゼン。福岡の特区の柱として「創業の支援」と「MICE(※)の誘致」があること、ソフトとハード両面からの支援について、道路使用や航空法の規制緩和の話など、幅広くご紹介いただきました。

たしかに、「都市と空港が近い」というのは福岡の大きな特徴ですし、その強みを最大限に活かすための規制緩和は重要ですよね。

(※)MICE:Meeting(ミーティング)、Incentive(インセンティブ)、Convention(コンベンション)、Event(イベント) / Exhibition(エキシビジョン)の頭文字を並べた単語。

国家戦略特区・福岡市の取り組みを語る高島市長

また、2014年10月にオープンしたばかりの「福岡市スタートアップカフェ」の取り組みも印象的でした。女性や高齢者にとっても「スタートアップ」「起業」が身近になってきており、なんと最高齢は82歳!

近々また福岡に行って現地を訪れてみたいなぁ。

<参考URL>
福岡市、創業特区としての次の一手へ。スタートアップを目指す人たちの創発を生み出す「スタートアップカフェ」をオープン

わずか半年強で78ものプロジェクトを進めたという福岡市。短い時間ながら、その熱気と「ワクワク感」が十分に伝わってくる素晴らしいプレゼンでした。


その後、平 将明 副大臣、Evernote日本法人会長の外村さん、グロービス堀さんが登壇し、このセッションのメインパートへ。

まず平 副大臣からは「地方創生の柱になる “国家戦略特区” と “起業・スタートアップ” を両方やってもらっている。ワクワク感もあるし、ぜひベストプラクティスをつくってほしい。」という福岡市への期待が語られました。

内閣府副大臣 平 将明 氏

個人的にもすごく嬉しかったのは、「得意な人に任せることが重要。たとえば人材のマッチングであれば、役所や商工会議所がやるのではなく、ノウハウがたまっているETIC.の宮城さんに任せた方がいい」という言葉です。

会場にETIC.の方、非営利セクターの方がどれだけいたかはわかりませんが、僕は一人で、胸の高鳴りを感じながらソワソワしてました(笑)
 
 
また外村さんからは、シリコンバレーの生態系に長年身を置いている立場から「日本ではどうやっていくべきか」というメッセージがありました。

大企業に囲われている優秀な人材が持つイノベーションのポテンシャルとともに、生態系をつくっていく上で「特に行政については、日本では余計なお世話が本当に多過ぎる。まさに “転ばぬ先の杖” 症候群。中途半端でも不十分でもまずやってみて、違ったら直せばいいというカルチャーにしていく必要がある」というのは、まさにこの日のイベントのような場でもっと問題提起されるべきトピックスだと思います。

Evernote日本法人会長 外村 氏

総務省が主催した「異能(inno)vation」の審査員もやった外村さんが言うように「国が “異能なことは良いこと” と認めたのは大きな前進」だというのもすごく納得。2日前に日本でも初開催された「失敗力カンファレンス」とあわせて、少しずつ世の中は動いてきてますよね。

<参考URL>

異能(Inno)vation | 独創的な人特別枠

新経連が「失敗力カンファレンス」 久多良木氏ら経験語る

 
セッションの最後、高島さんから「旗を立て、裾野を広げるのは行政の役割。そういう雰囲気、ワクワク感を日本中につくっていきたい」という力強いメッセージがありました。福岡、住みたくなる!

福岡市長 高島 氏

7自治体の首長リレースピーチで語られた「地方発、同時多発的なスタートアップ都市づくり」

首長リレースピーチ:地方発、同時多発的なスタートアップ都市づくり

シンポジウム第二部は、「地方発、同時多発的なスタートアップ都市づくり」をテーマに、7自治体の首長がリレースピーチ。以下7名が持ち時間3分厳守でプレゼンです。

リレースピーチに登壇した7自治体の首長の皆さん(パンフレットより)

どの自治体もインターネット上ではよくニュースを目にしますし、話に聞くことも多いのですが、実際に知事・市長の方々からこうしてプレゼンを聴けるのは貴重な機会だったなぁ。千葉、横須賀は都内からも近いし、他の地域もやっぱり行かなきゃ!という思いを新たにする濃密な20分でした。

「地方発、同時多発的なスタートアップ都市づくり」でプレゼンを聴く広島県知事 湯崎氏、横須賀市長 吉田氏、福岡市長 高島氏「地方発、同時多発的なスタートアップ都市づくり」でプレゼンを聴く広島県知事 湯崎氏、横須賀市長 吉田氏、福岡市長 高島氏

<参考URL>

「幕張」を活かしきれていなかった千葉市 法人市民税やハラールで「攻めの自治体」に 千葉市・熊谷俊人市長に聞く市政改革の足跡

ヨコスカバレー構想:「基地の街」から「住む街」へ 人口減少に悩む横須賀市の対策は

企業、政府、非営利組織の垣根を超えて「トライセクター」で活躍するということ

あっという間の濃密な90分で、残念ながら会場から離脱してしまったのですが、FacebookやTwitterで探してみても、このイベント内容の情報はあまり発信されていないようです。300名以上の方々が参加していたみたいだし、せめてハッシュタグがあれば良かったんだけどなぁ…と思ってしまいました。

以下、発見できたツイートをいくつか。



グロービス堀さんも写真つきでツイートしてくれてますね。


最後のセッションに関して、本荘さんもツイート。
 
 
ということで、非常に簡易なものではありますが、「参加したかったけどできなかった!」「そもそも存在を知らなかった…」という方々にお届けできればと思い、このイベントレポートを書きました。
(移動中にサクッとなので、十分なレポートができずにすみません)

少しでも皆さんのお役に立つ記事になっていれば嬉しいです。
 
 
この記事の最後になりますが、こういう場にもっと若手や女性が出てきて、多様性を感じさせてくれるようにならなきゃいけないなぁと改めて感じました。僕ももう30歳を超えているので、若手と言えるかどうかは正直わかりません…でも、登壇者はもちろん、参加者の中にも20代はほぼいなかったかと思いますし。

年齢や性別はもちろん、ビジネスセクター、政府・行政、そして非営利の垣根を超えてトライセクターで活躍する人材の重要性もさらに高まるはずですよね。若手からもそういうプレイヤーがもっともっと出てくるように、そしてそのための一助になれるように。僕もこれからも頑張りたいと思います。

<参考URL>
企業、政府、非営利組織の垣根を超えて活躍するトライセクター・リーダー

NPO・企業・行政をつなぐトライセクター・カレッジで「戦略的Webマーケティング」の講座を担当します

 
 
<今回の内容と近いテーマの記事>

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加藤たけし&佐藤茜(@AkaneSato)夫婦2人の情報発信

インターネット、マーケティング、テクノロジー、コミュニティデザイン、NPO、地域活性、海外、新しい働き方などのテーマにおいて、加藤たけし&佐藤茜( @AkaneSato )の夫婦2人で情報発信しています。

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加藤 たけし
デジタルマーケティングのコンサルタント。民間企業の週3正社員&文部科学省 大臣官房 広報戦略アドバイザー(非常勤国家公務員)の官×民 複業中。慶應SFC卒。1歳児の父。育休7カ月。准認定ファンドレイザー。座右の銘:「ひとりじゃできないこと、みんなでやる。」より詳細なプロフィールや連絡先はこちら ↓
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