Code for Japan Summit 2015の注目セッション「シビックテック最前線 〜世界の事例を学ぶ〜」
テクノロジーを活用した地域課題の解決、行政・政治・市民参画、そして公共とITの新しい関係などを表すキーワードとして注目されているシビックテックの国際カンファレンス「Code for Japan Summit 2015」が豊島区役所旧庁舎で開催されました。
地方自治体や中央省庁の職員、政府CIO補佐官や大学の研究員、企業の情報担当やNPOのリーダー、そして本家Code for Americaからもゲストが集い、3日間で述べ1,000名以上が参加したこの大規模カンファレンス。僕も3日目だけですが参加してきたので、最も刺激的だったセッション「シビックテック最前線 〜世界の事例を学ぶ〜」の様子を簡単にレポートしたいと思います。
<過去に書いたシビックテックに関するイベントレポート>
■ シビックテックフォーラムで語られたスタートアップの育成環境、シビックテック大国のエコシステムづくり(2015年3月)
■ 世界の最新事例が結集したPersonal Democracy Forum帰国報告会 〜テクノロジーで変える政治と市民社会(2015年7月)
もくじ
「Code for America Summit 2015」のダイジェスト(Code for Japan 代表・関 治之 氏)
セッションのスタートは、Code for Japan 代表・関さんによる「Code for America Summit 2015」の報告から。スライドショーで写真を流しながら口頭で補足するというスタイルで、米オークランド現地で参加した時の様子をお話ししてくださいました。
Code for America Summit は例年はサンフランシスコですが、今回は初めてオークランドでの開催。
AirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)とTim O’Reilly(ティム・オライリー)のトークセッションをはじめ、関さんは多くのセッションに参加したとのこと。
■参考動画
Brian Chesky & Tim O’Reilly – Airbnb and the City – CfA Summit (2015)
また、関さんの口から発せられた「Built with, Not for(誰かのためにではなく、共に)」という言葉。
以前書いた Personal Democracy Forum帰国報告会のイベントレポート でも紹介した言葉ですが、今年の「Code for America Summit」でもやはり印象的な言葉として挙げられたようです。
時間の関係もあり、多くは語られませんでしたが、「Code for America Summit 2015」の様子は公式サイトにアーカイブされています。僕もほとんどキャッチアップできていませんが、ご興味をお持ちの方はぜひ。
シビックテックの海外動向:2015年の振り返りと2016年の予想(株式会社マカイラ 代表取締役・藤井 宏一郎 氏)
このセッションで僕にとって最も刺激的なインプットをしてくださったのは、2番目に登壇し、後半のパネルディスカッションのモデレーターも務められた株式会社マカイラ 代表取締役・藤井さんです。
その意味は、公開してくださっているこの講演スライドをご覧いただければ一目瞭然なのではないでしょうか。「2015年の振り返りと2016年の予想」ということで、シビックテックの海外動向をわかりやすくまとめてくれています。
このスライドの5ページ目以降で紹介されてますが、藤井さんは2016年の予測キーワードとして、以下の8つを挙げています。
1. ビッグデータ・機械学習
2. ブロックチェーン
3. ドローン
4. 標準化(Standardization)
5. 調達(Procurement)
6. シェアリングエコノミーの課題克服
7. 社会的インパクト投資
8. 代表制民主主義
個人的にはこの中でも特に「シェアリングエコノミー」「社会的インパクト投資」「代表制民主主義」に注目しています。「シェアリングエコノミー」の日米のステージの違いは非常に興味深かったですし、ソーシャル・インパクト・ボンドや休眠預金の活用については日本でも活発に議論されています。
また、シビックテックが「国の在り方を左右するような政治課題への深い参加ができていない」という懸念の声についても、まさにそのとおりでしょう。選挙はもちろん、選挙以外の政治的意思決定プロセスへのシビックテックの関与については、僕自身も今後さらに考えを深めていきたいと思っています。
ちなみに、元Google Japanの執行役員 兼 公共政策部長であり、官僚やPR会社の経験もお持ちの藤井さんは、Personal Democracy Forum帰国報告会 でも「日米の社会的・歴史的文脈の中でシビック・テックを位置付ける」というタイトルの講演スライドを公開してくれています。
先日も藤井さんご夫妻+僕たち夫婦の4人でブランチでいろいろと話をお聞かせいただいたのですが、さすがテクノロジー産業や非営利セクターを中心とした公共戦略コミュニケーションの専門家。刺激的な話ばかりで、本当に勉強になりました。
僕たち夫婦も“トライセクター”で活躍できるよう頑張っているつもりですが、僕たちのはるか先をゆくご夫婦、心から尊敬しています。藤井さん、貴重なお時間を本当にありがとうございました。
藤井さんの講演パートを書き起こしました!(16年1月9日追記)
なお、今回の「シビックテック最前線 〜世界の事例を学ぶ〜」のセッションは動画アーカイブがアップされてます。この記事では簡単な報告のみになってしまっておりますので、実際のセッション内容はこの動画をご覧いただければ幸いです。
また、僕は残念ながら参加できませんでしたが、シビックテックに関するその他のセッションもアップされてました。興味をお持ちの方はあわせてご覧ください。
■課題解決にデザイン思考を活用するCode for America(Molly McLeod:Code for America マーケティング&コミュニケーションチーム)
上記セッションで使用されたスライドはこちら。
You Can Design Better Government – Code for Japan 2015(日本語訳つき)
<その他のメディア掲載>
シビックテックを推進するための「トライセクターリーダー」
さて、「Code for Japan Summit 2015」全体に話は戻りますが、Code for Japan代表の関さんは3日目の開会挨拶の際、このようなスライドを出して「シビックテックを推進するための4つのステイクホルダー」について語ってくれました。
まさにそのとおりで、セクターを超えて活躍している人がまだまだ少ないなぁと僕自身も常日頃から思っています。
政府にしか解決できない課題は年々減っており、民間や個人が関わり、解決する課題が増えてきていると感じます。また、グローバル化等でビジネスが複雑化し、企業間の競争も激化しているために、必要とされる人材の幅も広がっています。
企業、政府、非営利組織の境界は年々曖昧になってきており、持続的な発展のためには全てのセクターでの知見を集結させることが必要になってきているのだと思います。
※ 企業、政府、非営利組織の垣根を超えて活躍するトライセクター・リーダー(Tri-sector Leader)とは? より
妻の茜(@AkaneSato)もこう書いてますし、僕たち夫婦は2人でトライセクターでより活躍できるよう、日々頑張っているつもりです。
僕自身もビジネスとしては引き続きループスで、NPOとしてはソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)やETIC.で。また個人としても、妻の茜の専門分野とも関わりを持ちつつ、セクターを超えて価値を出せるような活動を加速していきたいと思います。
最後に、今回の「Code for Japan Summit 2015」では シビックテックフォーラム と同様、「グラフィックレコーディング」でこんな風に、各セッションの内容がイラストや図解でリアルタイムに記録されてました。
Code for Japan Summit 2015の運営に携わった皆さん、ありがとうございました!
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