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テクノロジーやニューメディアで世界的な社会課題をいかに解決できるか。「Social Good Summit(ソーシャルグッド・サミット)」東京ミートアップ【イベントレポート】

Social Good Summit(ソーシャルグッド・サミット)は今年で5年目、ニューヨークで開催されました

9月21日〜22日の2日間に渡って Social Good Summit(ソーシャルグッド・サミット)2014 がニューヨークで開催されました。

Social Good Summit(ソーシャルグッド・サミット)2014

「ソーシャルグッド・サミット」は今年で5年目。「ニューメディアやテクノロジーを活用することで、世界的な社会課題をいかに解決できるか」というテーマに関して、アル・ゴア元副大統領や潘基文(パン・ギムン)国連事務総長、そしてニューヨーク市長など、さまざまな分野で活躍する国際機関のトップ、社会起業家、ジャーナリストなどが議論を繰り広げるグローバルなカンファレンスです。

Social Good Summit 2014
http://mashable.com/sgs/

Social Good Summit 2014 のアジェンダ
http://mashable.com/sgs/agenda/

教育や貧困、公衆衛生、環境保全、防災対策などの社会的課題の解決のため、今年もさまざまな分野の著名人やリーダー、ICT業界のトップが集い、新しいメディアとデジタル・テクノロジーなどの活用策を議論したのですが、なんと!

カンファレンスは終了したばかりにも関わらず、47ものセッションのアーカイブ動画がすでに公開されています。


Social Good Summit 2014 のアーカイブ動画
http://new.livestream.com/Mashable/English2014

すべて英語でのセッションではありますが、ご興味をお持ちの方はぜひ見てみてください。

ソーシャルグッド・サミット東京ミートアップも4回目の開催!

また、ソーシャルグッド・サミットの東京ミートアップも今年で4回目を迎えました。

今回も国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所が主催で、共催として株式会社ソーシャルカンパニーの市川さん。NPOxIT Expoコミュニティマネージャー・ミートアップ など、普段から市川さんと多方面にご一緒させていただいているご縁もあり、2012年、2013年のソーシャルグッド・サミット東京ミートアップは僕も企画側として関わらせていただいたのですが、今回は一参加者として参加したので、イベントの様子をまとめてレポートしたいと思います。

■ソーシャルグッド・サミット 2014 東京ミートアップ アジェンダ
・ソーシャルグッド・サミット2014の見どころと世界のトレンド
・クリエイティブなアイディアを生み出す7つの方向性とソーシャルデザイン事例
・アイディアと人々をつなぐ新しいメディアとテクノロジーの事例発表
・2030年の世界に思いをめぐらせるパネルディスカッション

■ソーシャルグッド・サミット 2014 東京ミートアップ 詳細
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/presscenter/articles/2014/09/09/-2014-meet-up-9-22-/

 

ソーシャルグッド・サミット2014の見どころと世界のトレンド(ソーシャルカンパニー 市川 裕康 氏)

まずはソーシャルカンパニーの市川さんから、「ソーシャルグッド・サミット2014の見どころと世界のトレンド」をテーマにした基調講演がありました。

ソーシャルグッドサミット2014東京ミートアップにおける基調講演はソーシャルカンパニー市川さん

5年目を迎えた今年のソーシャルグッドサミット、なんとスピーカーは総勢約180名!そして、そのスピーカーの男女比はほぼ半々とのこと。

「Women Power. Empowered Women」「Inspiring Real-World Action in Women’s Movements」「Accelerating Global Change: Women & the Digital Revolution」など、多くのセッションで女性のエンパワーメントが話題になっていたようです。

「ソーシャルグッド・サミット2014の見どころと世界のトレンド」をテーマにした市川さんの基調講演

過去のソーシャルグッド・サミットの話はもちろん、日本時間で前日深夜に開催されていた今年のソーシャルグッドサミットについてもダイジェストで紹介していただき、時差の関係で情報のキャッチアップが難しいという方にとっても、世界のトレンドに触れる良い機会になったのではないでしょうか。

ソーシャルカンパニー市川さんからのメッセージ

基調講演の最後にあったメッセージ、僕もすごく共感します。微力ながら、そのための力になれればと思っています。市川さん、ありがとうございました!
 


市川さんによる当日の講演スライド(2014/10/01 追記)

<市川さんが後日まとめたブログ(2014/10/01 追記)>
ソーシャルグッドサミット、東京ミートアップを振り返って
http://www.socialcompany.org/2014/09/30/social_good_summit_tokyo_meetup/

 
また、市川さんの書籍にも数多くのソーシャルグッドな事例が紹介されています。未読の方はぜひ。

クリエイティブなアイディアを生み出す7つの方向性とソーシャルデザイン事例(クリエイティブディレクター 福井 崇人 氏)

そして電通ソーシャル・デザイン・エンジン代表であり、NPO 2025 PROJECTの代表理事も務めるクリエイティブディレクター、福井崇人さんからは「ソーシャルグッドの巻き込み方・伝え方」をテーマにした講演がありました。


Photo by UNDP Representation Office in Tokyo via Flickr

ソーシャルグッドを巻き込み、伝えるためのアイディアの方向性として紹介されていたのは、以下の7つです。

1. ビジュアルにする
2. ◯◯の力を活用する
3. スポットをあてる
4. コンテンツをつくる
5. 新しい価値をつくる
6. 仕組みをデザインする
7. 発想をジャンプさせる

これらを活用したソーシャルデザイン事例として紹介されたもののうち、4事例を簡単にまとめました。

ワンビジュアルにする:ラブ・ケーキ・プロジェクト

1ピースがあらかじめ切り取られたクリスマスケーキを通常の価格で販売し、足りない1ピース分の金額がケニアの子どもたちのための食糧支援プ­ロジェクトに寄付されるというこのプロジェクト。

ケーキを囲むときの幸せな気持ちを途上国の子どもたちとも分ちあうことができたら…そんな想いから生まれた、ワールド・ビジョン・ジャパンの取り組みです。

詳細→ http://www.worldvision.jp/involve/lovecake/

赤ちゃんの力 × 記念日 × 仕組みをデザインして集める:ハッピーバースデイ 3.11

2011年3月11日に生まれた子どもたち、そしてその家族の写真とストーリーを通して、命の大切さと未来への希望を伝えるプロジェクトが、この「ハッピーバースデイ 3.11」です。

子どもたちの瞳にうつるこれからの日本を、日本中のみんなが考えるきっかけをつくりたい…そんな想いから、コピーライター、カメラマン、ディレクターなどの有志スタッフによって始められ、共感した日本ユニセフ協会が動画をオンエアしたとのこと。

詳細→ http://happybirthday311.jp/
 

イベントをつくる × 置き換える:Charge the Future Project

「クルマになにができる?」というテーマのもと、“人・モノを運ぶ” 役割以上に車が秘めている可能性を追求・啓蒙していくプロジェクトです。CMソングは「Def Tech」の「Golden Age」。

未来に向かって進もうとしている人たちの情熱や、成長していく子どもたちの創造力をチャージし、応援するエスティマハイブリッドの姿が映し出されています。

詳細→ http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000004223.html

記念日 × テクノロジー:Search for 3.11

震災から3年が経った2014年の3月11日、Yahoo!検索で「3.11」というキーワードで検索すると、1人につき10円が寄付になるというもの。この記事でも紹介しましたが、実際に参加した方も多いのではないでしょうか。

<参考記事>
震災から3年…被災地に行かなくても復興支援できる方法まとめ
http://atcafe-media.com/2014/03/09/3years311/

「知りたい」「何とかしたい」という想いが込められた多くの言葉が寄せられるYahoo!検索だからこその素敵な取り組みです。

詳細→ http://promo.search.yahoo.co.jp/searchfor311/
 
 
他にも、女優の宮崎あおいさんがボランティアで協力してくれたという「100万人のキャンドルナイト」をはじめ、数多くのソーシャルデザイン事例やフレームワークが紹介されました。
 
より詳細を知りたいという方は福井さんの書籍をぜひ。

コペルニク、e-Education、Google for Nonprofits…アイディアと人々をつなぐ新しいメディアとテクノロジーの事例発表

ソーシャルグッド・サミット 2014 東京ミートアップの後半には、エデュアス事業推進部の佐藤 里美 氏、コペルニク・プロジェクトマネージャーの濱川 知宏 氏、LOUPE共同創設者の末永 昌也 氏とともに、e-Education代表理事の三輪開人さん、そしてGoogle for Nonprofitsの三好大助くんが登壇しました。

ソーシャルグッドサミット2014東京ミートアップの事例発表

「アイディアと人々をつなぐ新しいメディアとテクノロジーの活用法」というテーマの事例発表において、個人的にも親しくさせてもらっているお二人の共演。すごく嬉しかったなぁ。
 

1年半で2000本もの記事を配信し、NPOのメディア運営における先進事例となったトジョウエンジン(e-Education 代表理事 三輪 開人 氏)

e-Education代表三輪さんがソーシャルグッドサミット2014東京ミートアップに登壇
e-Education代表の三輪さんがイベント等で登壇する際、そのテーマのほとんどは「発展途上国の教育課題をDVDで解決する」という話なのですが、今回はWEBメディア「トジョウエンジン」にフォーカスした話でした。

2013年1月に創刊以降、たった1年半で2000本もの記事を配信しているという事実に、会場からは驚きの声が上がります。

e-Educationのトジョウエンジンについて

<参考記事>

急成長中のNPOメディア「トジョウエンジン」運営から見えてきた、新たなファンドレイジングの展望
http://blog.canpan.info/nposc/archive/611

毎日記事を発信し続ける注目メディア、トジョウエンジン編集長・佐藤慶一氏が考えるコンテンツマーケティングのポイント
http://tech-tokyo.com/?p=6928

国連総会と同時期開催!Social Good Summit2014 東京ミートアップ イベントレポート
http://eedu.jp/blog/2014/09/23/sgstokyo2014/
(※イベント翌日の午前中にはもうアップされてました。すごいスピード感 笑)

SVP東京の協働先がe-Educationなので、僕もパートナーとして日々ご一緒させていただいていますが、e-Educationが運営するトジョウエンジンの可能性は本当にすごいと思っています。

e-Educationのデジタルマーケティングをさらに加速させるべく、僕もこれからも頑張ります。
(今日もこれから三輪さんとMTGです 笑)

世界4カ国目、英語圏外では初となる日本ローンチを果たしたGoogle for Nonprofits の最年少メンバー 三好 大助 氏

事例紹介の最後に登壇したのは、Google for Nonprofitsの三好大助くん。ぜひ上記アーカイブ動画をご覧いただければと思いますが、世界4カ国目、英語圏外では初となるGoogle for Nonprofits の日本ローンチに貢献した若者(プロジェクト最年少メンバー!)です。

<参考記事>
悲願の Google for Nonprofits をローンチできて今おもうこと。|「世界でいちばんの耳」の話
http://dicek344.com/archives/201408/g4np/

僕自身、彼とは約5年ほどの付き合いですし、妻の茜( @AkaneSato )がサンフランシスコで働いていた時の同僚でもある大ちゃんの活躍、心から嬉しく思っています。

Google for Nonprofitsの三好大助くんから熱いメッセージ

最後の熱い熱いメッセージもよかった!

解決策を議論し、コラボレーションを加速させるべく、2030年の世界に思いをめぐらせるパネルディスカッション

事例発表「アイディアと人々をつなぐ新しいメディアとテクノロジーの活用法」に続いて、ソーシャルグッド・サミット 2014 東京ミートアップにおける最後のプログラムとして、今回のゲストスピーカーが勢揃いするパネルディスカッションがありました。

テーマは「2030年の世界に向けて」、モデレーターは市川さんです。

ソーシャルグッドサミット2014東京ミートアップのパネルディスカッション「2030年の世界に向けて」

実はこのソーシャルグッド・サミットは、2013年から「#2030Now」というハッシュタグが設定され、2030年のあるべき世界に思いをめぐらせながら、そのための具体的な解決策を参加者同士で議論し、コラボレーション(協業)を加速させていこうという動きが出てきています。

また、ソーシャルグッド・サミットを年に1回だけのイベントとして終わらせるのではなく、継続的な活動をしていくための組織として「Plus Social Good」も生まれ、世界各地でイベントが開催されています。

ソーシャルグッドサミット2014東京ミートアップのパネルディスカッション

モデレーターの市川さんもおっしゃってましたが、日本では2020年東京五輪という節目を意識した取り組みが多く見られます。それはそれで良いと思うのですが、5年という短いスパンのみならず、そこからさらに先を見据えた活動を日々意識していくこと。そして、小さなことでもアクションを起こし、それをつなげていくこと。僕自身も強く意識していきたいと思います。
 
また、今回のソーシャルグッド・サミット 2014 東京ミートアップでも、参加者の方々がTwitterで感想をツイートしてくれていたので、いくつかご紹介させていただきますね。

 
改めて、国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所の皆さん、登壇された皆さん、そしてオンライン / オフライン問わず参加された皆さん、ありがとうございました! これからも一緒に、この機運をさらに高めていきましょう!


Photo by UNDP Representation Office in Tokyo via Flickr

税所篤快、三輪開人、三好大助、薄井大地…それぞれのフィールドで社会課題の解決に向けて精一杯取り組む4人のチェンジメーカーズ

余談ではありますが、貴重な写真を撮影できたと思っているので、ここで紹介させてください。今回のソーシャルグッド・サミット 2014 東京ミートアップに登壇された三輪開人さん、三好大助さん、そして会場に来ていた薄井大地さんの写真(左から)です。

バングラデシュの同志である三輪開人さん、三好大助さん、薄井大地さん

日本人学生をインターン生として、バングラデシュ・グラミン銀行に送り込み、チェンジメーカーを生み出すための「GCMPプロジェクト」をご存じでしょうか。たとえご存じでなかったとしても、ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行の創設者、ムハマド・ユヌス 氏のことはご存じだと思います。

<参考URL>
GCMP | Global Change Makers Program
http://www.gcm-p.com/

三好大助さん、薄井大地さん、米瀬樹さん、そしてe-Education創設者の税所篤快さんの4人は同級生で、この「GCMPプロジェクト」をバングラデシュで立ち上げた同志。e-Education現代表の三輪さんと税所さんとの出会いもバングラデシュですし、皆さん現地で熱い想いを持って学生時代を過ごしてたんですね。

そんな三輪開人さん、三好大助さん、薄井大地さんが一堂に会したこの写真。前々から学生時代の話を聞いていた僕にとって、非常に感慨深い1枚となりました。(残念ながら、税所さんと米瀬さんはいませんが 苦笑)

20代中盤となり、それぞれのフィールドにおいて社会課題の解決に向けて精一杯取り組んでいる姿は、まさにチェンジメーカーですよね。負けないよう、僕も頑張ります!

<三輪開人さん、三好大助さん、薄井大地さんのブログ(2014/09/26 追記)>

Social Good Summit 2014でお伝えできなかった2つのこと(三輪開人さん)
http://edu-dev.net/2014/09/25/sgs2014/

Social Good Summit 2014 に登壇して嬉しかったこと(三好大助さん)
http://dicek344.com/archives/201409/sgs14/

ソーシャルグッド・サミット2014東京Meet-Up(薄井大地さん)
http://www.gcm-p.com/blog/0924sgs_tokyo/

 
ということで、ソーシャルグッド・サミット 2014 東京ミートアップの終了後、e-Educationのメンバー+ソーシャルカンパニー市川さん+Google for Nonprofitsの三好くんで撮影した集合写真です。

e-Educationメンバーも大勢参加しました

ひとりじゃできないこと、みんなで!

(この後、みんなで懇親会に行きました。10代〜40代が入り混じった懇親会、いいですね!)
 
 
この記事最後に、関連書籍の紹介を。「NPOのためのIT活用講座」や「NPOのためのマーケティング講座」といった書籍も、この分野の情報収集をしている方にとっては必読の一冊と言えるでしょう。

「NPOのためのマーケティング講座」は10月1日発売ですが、「NPOのためのIT活用講座」はすでに発売されてます。ご興味をお持ちの方はぜひ。

 
<NPOのWebマーケティングに関して>

以下はNPOサマースクールの講演スライドです。微力ではありますが、できる範囲でNPOの方々のお力になれればと思っていますので、何かあればいつでもお声がけください。

NPOサマースクール2015 公開用資料
 
 
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加藤たけし&佐藤茜(@AkaneSato)夫婦2人の情報発信

インターネット、マーケティング、テクノロジー、コミュニティデザイン、NPO、地域活性、海外、新しい働き方などのテーマにおいて、加藤たけし&佐藤茜( @AkaneSato )の夫婦2人で情報発信しています。

更新情報は以下からもぜひ。
 

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加藤 たけし
デジタルマーケティングのコンサルタント。民間企業の週3正社員&文部科学省 大臣官房 広報戦略アドバイザー(非常勤国家公務員)の官×民 複業中。慶應SFC卒。1歳児の父。育休7カ月。准認定ファンドレイザー。座右の銘:「ひとりじゃできないこと、みんなでやる。」より詳細なプロフィールや連絡先はこちら ↓
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