昨日は、現職の米大統領として初めて広島を訪問したオバマ大統領の演説が、素晴らしいスピーチだと話題でした。
日本語全文:
オバマ大統領の広島スピーチ全文 「核保有国は、恐怖の論理から逃れるべきだ」
スピーチライターはこの記事にあるベン・ローズのようです。
大統領のすべての外交演説を書く男、ベン・ローズ――文学青年はいかにしてオバマ側近のトップにのぼりつめたのか(後半有料)
オバマの出馬から大統領初当選までを追ったドキュメンタリー
ちょうど今月の頭に、オバマの出馬から大統領初当選までを追ったドキュメンタリーを見て感銘を受けたところだったので、簡単に内容を紹介したいと思います。
タイトルは「バラク・オバマ 大統領への軌跡」。原題は「By the People: The Election of Barack Obama」です。
映画予告編
映画はオバマがまだ無名だった時代からスタートします。オバマは出馬表明当時40代半ばで議員としての経験も浅く、また「アメリカに黒人の大統領が誕生するのはまだ早い」なんて声も多かったようです。
しかしオバマは、優秀な選挙陣営スタッフに支えられながら、どんどん大統領候補として頭角を現していきます。選挙スタッフも若い人が多く、選挙戦を闘いながら、オバマと一緒に成長していくのが分かります。
20代の若さでスピーチライターとして抜擢されて話題になったジョン・ファヴローも、選挙の時から活躍していました。実際に二人がやり取りをしながら演説を作り上げるシーンも何度か出てきます。
オバマの選挙スタッフから語られる印象的な言葉たち
スタッフの中で、私が一番共感したのはオーガナイザーのロニー・チョウです。ロニーは、貧しい父と韓国からの移民の母を持つアジア系アメリカ人で、幼い頃は車の中で生活していたそうです。
「家族の中で初めて大学に進んだ僕が、オバマのために働いてるなんてすごい話だと思わない?」と語るロニー。まさにアメリカンドリームですね。
心に残ったのは、ロニーがオバマについて語ったシーンでのこの言葉。「僕らの最高の武器は彼なんだ」。これがスタッフから出てくる政治家、日本にはどのくらいいるでしょうか。
様々なアクシデントがありながらも、国民の心を動かし、大統領の階段を一歩一歩登っていくオバマ。社会が変わっていく過程とその熱狂の渦を感じることができる素晴らしいドキュメンタリーでした。
8年経ち、オバマの政権運営については賛否ありますが、このドキュメンタリーは単純にオバマという若い政治家、そしてオバマを支えるチームメンバーの成長の物語として楽しめると思います。
DVDはアマゾンでも買えますが、アマゾンのレンタルかiTunesのレンタルが早くて便利です。
オバマ大統領の選挙におけるオンライン広報戦略
また、この選挙のオンラインの広報戦略については、「オバマの作り方」に詳しく書かれています。ソーシャルメディアを中心とした施策について、実際にオバマの選挙陣営のスタッフをしてたラハフ・ハーフーシュが解説している本で、これもすごく勉強になる内容でした。
あと、私はたまたま2012年の大統領選の時にサンフランシスコにいたのですが、オバマが大統領として再選を果たした時のスピーチが素晴らしく、テレビでリアルタイムで見ていてとても感動したことを覚えています。
これがその時にしたツイートです。
オバマのスピーチで感動した部分→「黒人でも白人でもヒスパニックでもアジア人でもネイティブ・アメリカンでも、若くても年をとっていても、豊かでも貧しくても、障害があってもなくても、ゲイでもストレートでも関係ない。もしあなたに挑戦する気があるなら、ここアメリカで夢を叶えることができる」
— 佐藤 茜 (@AkaneSato) 2012年11月7日
オバマ大統領の再選を勝ち取ったITチームは、どんなメンバーで構成されていたのか? という記事でも紹介されてますが、この選挙キャンペーンにおけるITチームの先進的な取り組みには衝撃を受けました。
オバマの任期も残すところ後ヶ月。次の大統領が誰になるかは分かりませんが、オバマの時よりはワクワクしないのが正直なところです(笑)。
ちなみに、政治家を描いた映画としては、以前ご紹介した「MILK」もおすすめ。サンフランシスコの市会議員で、アメリカで初めてゲイであることを明らかにして当選した政治家であるハーヴェイ・ミルクの生涯を描いた伝記映画です。
「弱者に希望を」ーサンフランシスコの英雄、ハーヴェイ・ミルクが起こした革命
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