ここ数年、日本はもちろんのこと、先進国での賃金低下や、中流から下流へのシフトなどの問題をよく耳にします。
リーマンショック後のボーナスが語る“不気味な真実”「日本人“総低年収化”の時代」がやって来る!
消えた年収と賞与はいったいどこへ行ってしまったのか?北見さんは「中国が富を吸い取った」と考えている。
あなたなら、中国人やインド人に負けないグローバル人材となって、豊かな将来をつかみますか?
それとも、低成長時代にふさわしい、身の丈にあった暮らし方を選びますか?
圧迫される世界の中流階級 先進国に広がる「所得伸び悩み」の恐怖
米国男性の実質所得のメジアン(中央値)は1975年以降増えていないし、日本では2000年代半ばまでの10年間で実質世帯所得(税引き後)の平均値が減少した。ドイツの世帯所得もここ10年間で減少している。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』(電子版5月27日付)によれば、中間層の職が急減しており、今や米国の全仕事数の半分を大きく下回るまでに落ち込んだという。一方、急増しているのが低賃金労働であり、1700万人の大卒米国人が、学歴よりも低いレベルの仕事に甘んじている。
逆に中国やインドなどの途上国がどんどん勢いを増しているのを感じます。銀座に中国人富裕層が溢れていたり、実際に自分の給与が上がらなくなったりと肌で実感している方も多いと思います。
これから実際どうなっていくか分からないし、心配ですよね。今回は、この問題に関して俯瞰的なデータがあったのでそれをご紹介したいと思います。
先進国の中流はどこへ消えた?所得水準のフラット化
医師であり公衆衛生学者でもある ハンス・ロスリング は様々なデータを可視化している研究者です。彼が作ったデータを基に、上述のテーマを見ていきたいと思います。
こちらは世界銀行による予測を基にした世界の1日あたりの収入分布の図です。見えにくいですが図の右側にインデックスがあります。目盛りは$1、$10、$100となっています。
1970年は、2つの山があり、先進国と途上国の違いがはっきり分かる分布です。縦の点線は1ドルのラインです。
しかし特にアジアが、人口を増やしながらどんどん中央に移っていきます。
2000年には、アジアで最も多かった層(山の頂点)が1ドルのラインを越えます。
こちらが2015年の予測です。字幕にあるように「世界は分断されておらず、ほとんどの人が真ん中にいます」。いろいろな国が混ざった中間層が増えたのがよく分かります。
全体はこの動画で見られます。
Hans Rosling: Stats that reshape your worldview
インドと中国の勢いは止まらない
そうは言ってもまだまだ国の間の所得の差は残っています。でもこのままこの流れが続いたら…? これに関してもハンス・ロスリングが設立した Gapminder財団 からデータを紹介しようと思います。
これは各国の平均収入を比較したグラフです。上からアメリカ、イギリス、日本、中国、インド、です。(一人当たりGDP、購買力平価)縦軸が一人当たりの平均収入、横軸が時間になります。丸の大きさが人口の多さを表しています。
1880年頃。日本はインドや中国と近いところにいます。
第二次世界大戦後、日本は大きく落ち込んでいます。
ここからの日本の高度経済成長期がすごいです。
インド、中国はあまり変化なしです。
このあたりから日本がイギリスやアメリカと同じような線を描き始めます。
また、インドと中国がどんどん上昇しているのが分かります。
そして2015年の予測。中国とインドがすごい勢いで追い上げて来ています。
(こちらでこの流れを動くグラフで見れます)
Asia’s rise – how and when?
上のグラフはより変化を分かりやすくするため、平均収入の目盛りが対数になっている片対数グラフです。線形グラフにするとこんな感じ。
これを見ると、まだ差がある感じがして少し安心しますね。
しかし、ハンス・ロスリングは2048年には
インド、中国の平均所得が先進国の水準に届くのではと予測しています。
2048年は37年後。
ただし、途中に戦争などの大きな変化がない場合なので、これが当たるかどうかは誰にも分かりません。
いずれにせよ、私たちが先進国に生まれたという既得権を保持できるのもそう長くはなさそうです。
<2014年11月9日追記>
今年はじめに、ハンス・ロスリング教授が来日された時に、講演を聞きに行ってきました。その際のレポートはこちら。
上記の記事は、ハンス・ロスリング教授ご本人にツイートしていただけました(感激!)。
For my Japanese followers: http://t.co/Y5JJ5AGA9a
— Hans Rosling (@HansRosling) 2014, 1月 26