「スタートアップ都市推進協議会」と「熱意ある地方創生ベンチャー連合」が連携して開催した「第1回地方創生ベンチャーサミット」
スタートアップ都市づくりに先進的に取り組んでいる全国の自治体が集う「スタートアップ都市推進協議会」が主催したシンポジウム「ジャパン・スタートアップ・セレクション」に参加したのはもう2年以上前。
その時も登壇者の皆さんから刺激を受け、以下のように「石破茂大臣やEvernote日本法人会長、全国7自治体の首長が語る「地方発ベンチャー立国」に向けての挑戦」というタイトルでレポート記事を書きました。
高島市長、シェアいただきありがとうございます!
そしてこの春、「スタートアップ都市推進協議会」と「一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合」とが連携し、「第1回地方創生ベンチャーサミット」が開催されました。
各都市のスタートアップの機運を高め、地域の経済を活性化させることで地方創生の実現を図るためのこのイベントに僕も参加してきたので、その様子を簡単にレポートしたいと思います。
<第1回地方創生ベンチャーサミット プログラム詳細>
■ オープニングトーク:福岡市長 髙島 宗一郎 氏
■ スタートアップが牽引する地方創生 ~スタートアップが地方に与える影響について~
福岡市長 高島 宗一郎 氏
内閣府まち・ひと・しごと創生本部 参事官 村上 敬亮 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(アソビュー株式会社 代表取締役社長) 山野 智久 氏
一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会 会長 仮屋薗 聡一 氏■ 働き方改革
奈良市 市長 仲川 げん 氏
奄美市 産業創出プロデューサー 勝 眞一郎 氏
リクルートワークス研究所 研究員 城倉 亮 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(ランサーズ株式会社 代表取締役CEO) 秋好 陽介 氏■ 農林水産イノベーション
横須賀市 市長 吉田 雄人 氏
株式会社GRA 代表取締役CEO 岩佐 大輝 氏
株式会社フーディソン 代表取締役CEO 山本 徹 氏
株式会社グランドストラテジー 代表取締役 神谷 宗幣 氏■ 創業支援
千葉市 市長 熊谷 俊人 氏
国立大学法人 宮崎大学 地域資源創成学部 講師 土屋 有 氏
株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング 代表取締役社長 中山 亮太郎 氏
岡崎ビジネスサポートセンター OKa-Bizセンター長(NPO法人G-net代表理事) 秋元 祥治 氏
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 東 明宏 氏■ 観光
浜松市長 鈴木 康友 氏
一般社団法人 リディラバ 代表 安部 敏樹 氏
WAmazing株式会社 代表取締役社長 加藤 史子 氏
株式会社ジェイティービー グループ本社 国内事業本部 法人事業部 観光戦略部長 チームマネージャー 後藤 貴康 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(アソビュー株式会社 代表取締役社長) 山野 智久 氏■ 地方創生の未来について ~「働き方改革」「農林水産イノベーション」「創業支援」「観光」~
横須賀市 市長 吉田 雄人 氏
浜松市長 鈴木 康友 氏
千葉市 市長 熊谷 俊人 氏
奈良市 市長 仲川 げん 氏
株式会社グランドストラテジー 代表取締役 神谷 宗幣 氏
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 東 明宏 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(アソビュー株式会社 代表取締役社長) 山野 智久 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(ランサーズ株式会社 代表取締役CEO) 秋好 陽介 氏
スタートアップと政治・行政が同じ未来に向かって力を合わせていかなければ、世界は変わらない
いま、ベンチャーが熱い。スタートアップが熱い。そして、テクノロジーが熱い。シェアリングが熱い。
昨年のダボス会議のテーマも「第四次産業革命に備えよ」でした。
たとえば製造業とか一次産業。そうしたものでも今、ITやインターネットによって労働生産性が高まって、これからまさに成長産業になり得る。このように「第四次産業革命」に関しても、いま世界でとても熱い状況になっているわけですね。
そして、「私のこのテクノロジーがあれば、これだけ社会は豊かになる」「私の考えたこのビジネスモデルでいけば、地方も持続可能で、みんなが助かる」…こうしたことが今、世界中でものすごく熱く語られているわけです。もちろん、AIとかも含めて。
髙島 宗一郎 福岡市長のオープニングトークの冒頭で語られたのは、「スタートアップの新しい発想やテクノロジーだけでは世の中は変わっていかない」ということでした。
「俺がこの日本を、世界を変えていくんだ」っていう話を聞いて、こういう夢は素晴らしいなと思います。とてもワクワクします。と同時に、たとえばダボスでもそうですけれども、そうやってみんなが熱狂している一方、ある一つの大きな疑問にぶち当たるわけですね。
「ところで、その素晴らしいテクノロジー、その素晴らしいビジネスモデル、どこでするわけ?どこでそれができるわけ?」
ドローンを使った宅配。素晴らしいね。それ、どこでできるわけ? パーソナルモビリティの自動運転、それどこでするわけ? 日本で言えばUberですら、乗り合い? 医師免許? こうしたことでできないわけですね。
つまり、素晴らしいアイディアやビジネスモデル、そしてテクノロジーがどんどん進化したとしても、それをどこで使えるのか、もしくは社会で使えるようにするのか、っていうのはリンクしません。
テクノロジーや新しいビジネスモデルと同じぐらい、社会に実装するための綿密な道筋を描いていくことに対する熱狂がなければ、展示場での熱狂で終わってしまうということなんです。
もちろん、新しいビジネスモデルやテクノロジーの進化はとても大切です。でも、その変化の兆しを未来へつなげていくためには、現実的に社会に実装していく取り組みの重要性が見落とされているのではないか、という高島市長の問題提起。
素晴らしいビジネスモデルや新しいテクノロジーが実装されるような社会にするにはどうしたらいいのか。実はそれは、ベンチャーサイドが決められることじゃないんですね。政治が決めるんです。どんな社会であるべきかは、政治が決めるわけです。
それをサポートするのが行政です。だからこそ言いたいのは、ベンチャーと政治とが手を携えて、同じ物を見ながら、そして、同じ未来に向かって一緒に力を合わせていかなければ、世界は変わらない。ベンチャーの新しい発想やテクノロジーだけでは、世の中は変わっていかないということなんです。
一方で、政治・行政サイドにとっては、テクノロジーは今、どこまでできるのか。どんなソリューションがあるのかということに敏感になっていなければ、発想すら当然思いつかないわけです。ベンチャーと政治・行政、ここが連携をすることが大切です。
「スタートアップと政治・行政とが同じ未来に向かって、一緒に力を合わせていかなければ、世界は変わらない」と力強く語る高島市長。
オープニングトークの最後は、明るい未来に向けたメッセージで締めくくられました。
これからは人口構成もさらに少子高齢化し、大きく変わっていきます。税収が少なくなっていく中でも、住民の皆さんへのサービスレベルを維持、もしくは向上を目指すには、新しいやり方が必要です。地域を素晴らしくしていこうと思うのであれば、やはりベンチャーと行政も力を合わせなければいけない。
これから双方の思いを一つにし、そして本当の地方創生を広げていくためには、新しいソリューション、持続可能な社会、そして自治体。こうしたものを皆さんと一緒につくり上げていくことが大事です。
一方、日本を一気にまとめて変えていくというのはとても大変です。日本全体を変える時のそんなリスクを考えて立ち止まってるよりも、ロールモデルとなる地域をできるだけ早く、たくさんつくっていく。
そのロールモデルを日本全体に広げていくということで、私たちはベンチャー、そして自治体と地域とが一緒になって、この日本を、たとえさらに少子高齢化した社会になったとしても、これからも生産性を向上し、住民市民サービス国民サービスを維持、継続していく。
そして、未来の世代にこの素晴らしい日本をつないでいくという、そうした大きな目標のもとに、行動を共にしていきたいと思います。
一緒になって、次の時代の素晴らしい日本を作っていきましょう。
高島さんが36歳で市長に就任し、2012年の明星和楽で「スタートアップ都市宣言」をした福岡市は、つい先日発表されたForbes JAPANの「イノベーティブシティ」ランキングでも、未来を見据え、革新的な挑戦を続ける都市として堂々1位でした。
移住するならこういう所がいいなぁ。福岡市、神山町、日南市、紫波町等。/1位はあの街 日本を面白くする「イノベーティブシティ」ベスト10 | Forbes JAPAN https://t.co/rX7IvJU64H
— 佐藤 茜 (@AkaneSato) 2017年4月23日
また、以前見た動画としては、熊本地震の教訓から災害時の官民連携が語られた高島市長のこのセッションもオススメです。あわせてぜひ。
働き方改革、創業支援、農林水産イノベーション、観光などのテーマで語られた「スタートアップ」×「地方創生」
福岡市長 高島さんのオープニングトークに続いて開催された「スタートアップ」×「地方創生」のセッションはこちら。
■ スタートアップが牽引する地方創生 ~スタートアップが地方に与える影響について~
福岡市長 高島 宗一郎 氏
内閣府まち・ひと・しごと創生本部 参事官 村上 敬亮 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(アソビュー株式会社 代表取締役社長) 山野 智久 氏
一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会 会長 仮屋薗 聡一 氏
また、興味があるテーマを選んで参加する分科会では、「働き方改革」と「創業支援」の2セッションへ。
■ 働き方改革
奈良市 市長 仲川 げん 氏
奄美市 産業創出プロデューサー 勝 眞一郎 氏
リクルートワークス研究所 研究員 城倉 亮 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(ランサーズ株式会社 代表取締役CEO) 秋好 陽介 氏
■ 地域における創業支援・地元企業支援のあり方
千葉市 市長 熊谷 俊人 氏
国立大学法人 宮崎大学 地域資源創成学部 講師 土屋 有 氏
株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング 代表取締役社長 中山 亮太郎 氏
岡崎ビジネスサポートセンター OKa-Bizセンター長(NPO法人G-net代表理事) 秋元 祥治 氏
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 東 明宏 氏
妻の茜(@AkaneSato)が仕事でも何度かご一緒させていただいた内閣府まち・ひと・しごと創生本部 参事官 村上 敬亮さんや、夫婦で宮崎を訪れた際にお世話になった宮崎大学の土屋さんの登壇などもあり、クロージングセッションまで本当にあっという間の1日でした。
■ 地方創生の未来について ~「働き方改革」「農林水産イノベーション」「創業支援」「観光」~
横須賀市 市長 吉田 雄人 氏
浜松市長 鈴木 康友 氏
千葉市 市長 熊谷 俊人 氏
奈良市 市長 仲川 げん 氏
株式会社グランドストラテジー 代表取締役 神谷 宗幣 氏
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 東 明宏 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(アソビュー株式会社 代表取締役社長) 山野 智久 氏
一般社団法人 熱意ある地方創生ベンチャー連合 共同代表理事(ランサーズ株式会社 代表取締役CEO) 秋好 陽介 氏
ということで、各都市のスタートアップの機運を高め、地域の経済を活性化させることで地方創生の実現を図るために開催された第一回地方創生ベンチャーサミットの様子をお届けしました。少しでも皆さんのお役に立つ記事になっていれば嬉しいです。
なお、僕が残念ながら参加できなかった農林水産イノベーション、そして観光のセッションに関しても以下で動画が公開されています。ご興味をお持ちになった方はぜひご覧ください。
第一回地方創生ベンチャーサミット セッション動画▼
http://globis.jp/category/359
この記事の最後に、改めて。
【ブログ更新】社会問題を解決する新たなキャリアについて。/企業、政府、非営利組織の垣根を超えて活躍するトライセクター・リーダーとは? | アットカフェ http://t.co/vRpxcd4qDJ
— 佐藤 茜 (@AkaneSato) 2014年4月15日
政府にしか解決できない課題は年々減っており、民間や個人が関わり、解決する課題が増えてきていると感じます。また、グローバル化等でビジネスが複雑化し、企業間の競争も激化しているために、必要とされる人材の幅も広がっています。
企業、政治・行政、非営利組織の境界は年々曖昧になってきており、持続的な発展のためには全てのセクターでの知見を集結させることが必要になってきているのだと思います。
※ 企業、政治・行政、非営利組織の垣根を超えて活躍するトライセクター・リーダー(Tri-sector Leader) より
妻の茜(@AkaneSato)もこう書いてますが、年齢や性別はもちろん、ビジネスセクター、政府・行政、そして非営利の垣根を超えてトライセクターで活躍する人材の重要性もさらに高まるはずですよね。
若手からもそういうプレイヤーがもっともっと出てくるように、そしてそのための一助になれるよう、僕もビジネスとしては引き続きループスで、NPOとしてはソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)やETIC.で。また個人としても、妻の茜(@AkaneSato)の専門分野とも関わりながら、セクターを越えて価値を出していけるよう、これからも夫婦で頑張ります。
何かご一緒できそうな機会があれば、ぜひお気軽にお声がけください〜!
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加藤たけし&佐藤茜(@AkaneSato)夫婦2人の情報発信
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