子育て

ビジネスリーダー達の子育て論をまとめた「子育て経営学」は仕事も子育ても充実させたいパパ・ママにおすすめ

「夫婦で協力しながら、仕事と子育て、どちらも充実させたい!」。私の周りにはこう考えているパパ・ママが多いです。最近読んだ「子育て経営学」という本は、そんな子育て世代に最適な一冊でした。

 

10人のビジネスリーダー達の子育て論

本書は、40代以下の経営者・専門分野のプロフェッショナルであり父親である10人の方々の子育て論です。日経ビジネスオンラインの「僕らの子育て」で連載されているインタビューをまとめた一冊になっています。

僕らの子育て:日経ビジネスオンライン
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/030900024/

本書でインタビューに答えているのはこちらの方々。メディアなどでその活躍を目にする方も多いですね。

入山章栄さん(早稲田大学ビジネススクール准教授)
玉川憲さん(ソラコム社長)
綱場一成さん(ノバルティスファーマ社長)
豊田啓介さん(建築デザイン事務所noiz代表)
乃村一政さん(SOUSEI社長)
西村琢さん(ソウ・エクスペリエンス社長)
重松大輔さん(スペースマーケット社長)
中桐啓貴さん(ガイア社長)
小沼大地さん(NPO法人クロスフィールズ代表)
伊佐山元さん(WiL共同創業者兼CEO)

子育ての方針や家庭内での家事分担の仕方、仕事の話など、まさに共働きのパパママが知りたかった内容が満載でした。

こんな感じで平日/休日の一日の過ごし方も載っていて参考になります。

入山章栄さんの平日の一日の過ごし方

忙しい中でもスポーツジムに通っている方や、おそらく奥様以上に家事・育児をしている方もいて、尊敬…。睡眠時間もしっかりとっている方ばかりです。

私が本書で特におもしろいと思ったのは以下の3つの点でした。

 

子育て・家事のシェアリング

忙しいパパママにとって育児・家事に外部の力を借りるのは必須で、特に両親に頼る方が多いと思います。本書を読むと、両親や家事代行以外にも様々なバリエーションがあることがわかり、勉強になりました。

例えば、こんな感じの事例が載っています。

・同じフィリピン人のシッターさんに週3〜4日来てもらう。子どもたちにとって、語学の勉強にもなり、家族以外の大人とのコミュニケーションの機会にもなる。

近所のパパ友・ママ友でお互いに頼り合う。保育園のお迎えに代わりに行ってもらったり、仕事が遅くなるときに家で子どもを預かってもらったり。

職場に子連れ出勤する。子どもが小学生くらいの場合は、学校のあと職場に寄ってもらう。

経営者だからできる部分もありますが、自分なりにアレンジして取り入れていきたいなと思いました。ベビーシッターや家事代行のサービスは、ここ最近種類も増えて金額もだいぶ手頃になってきましたよね。

周りを巻き込んで子育て・家事をうまくシェアリングしていく、家庭だけではなく社会全体で子育てをしていく、という発想は常に持ち続けたいです。

 

夫婦で一緒にキャリアをつくる

この本のインタビューに答えている方々の奥様は、ベンチャーキャピタリストやスタートアップ企業の役員など、同じようにプロフェッショナルな仕事に就かれている方が多かったです。というか奥様が同じように忙しいからこそ、夫婦で子育てや家事を分担している、ということですね。

今までは夫側が仕事、妻側が家事育児、という分担が多かったと思いますが、どちらか一方が転職する、起業する、育休や産休を取る、専業主婦(主夫)になる、学生に戻って勉強する…というような、キャリアや人生の転換を夫婦で一緒に考えられると選択肢が広がります。

本書で、NPO法人クロスフィールズ代表の小沼さんは、こういった夫婦でのキャリア選択の仕方を「家庭内リスクポートフォリオ」と呼んでいました。

私と夫も、これを意識するようにしていて、二人でよく仕事や今後のキャリアについて話しています。いままで、私が海外に短期で移住したり、夫が長期で育休をとったりしてきましたが、今後も二人で試行錯誤していきたいです。

ちなみに小沼さんは本書でこんなこともおっしゃっていて、これも素敵だなぁと思いました。

これまで僕の年収が妻を上回ったことはありませんし、助けてもらっていた期間の方が圧倒的に長い。一生、頭が上がりません(笑)。
ただ夫婦としては、「互いの世界から得た学びを交換して、ともに成長できるよう、応援し合える夫婦でありたい」と、結婚当初から約束し合っています。

 

子どもの教育方針に独自の軸を持つ

私は子どもが1歳なので、細かい教育方針はまだあまり決めていませんが、子どもの自己肯定感を高めることと、興味のあること・好きなことに打ち込ませてあげること、この2つは大切にしたいと思っています。

本書で取り上げられている皆さんも、子どもの頃、親にそういった方針で接してもらって、その結果として今プロフェッショナルとして活躍しているという場合も多かったです。それがあるので子どもも同じように育てたい、という皆さんのお話には説得力がありました。

学校教育に関しては、私の予想に反して、公立の学校に行かせている方が多いようでした。小学生くらいのお子さんをお持ちの方が中心ということもあるとは思いますが、皆さんのお話からは、学校や塾に頼らずとも家庭でしっかり子どもと向き合って、いい影響を与えられているという自信のようなものを感じました。

学歴に関しては、ソラコムの玉川さんの言葉が印象に残っています。

僕が「人生の成功に学歴は関係ない」と知っているから、過剰な学歴競争には巻き込ませたくないという気持ちがあります。
仕事柄、いろんなベンチャー起業家と会いますが、成功している人の中には、学歴面で挫折経験のある人も少なくありません。世間で言う「いい大学」を出た人が全員幸せそうかというと、決してそうではないという発見もありました。
ですから学歴を整えるより、どんな状況でも人生を楽しむ力を身につけることの方がずっと大事だと思っています。

 

パワーカップルとウィークカップルの格差が開く?

最近知って驚いたのですが、沖縄で5歳児を持つ父親の労働時間を調査した際、「低所得になるほど長時間労働に従事している」という結果がでたそうです。

この10年で日本の「子どもの貧困」を取り巻く状況はこう変わった(山野 良一) | 現代ビジネス | 講談社
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56289

以前は、所得が高い人ほど長時間働くイメージがありましたが、最近は働き方改革が進み、その傾向も変わってきているようです。今後、「子育て経営学」に出てくるパパのように時間もお金もある人と、どちらも持っていない人に分かれていってしまうのかもしれません。

また、本書に出てくるご夫婦は、共働きで所得の高い「パワーカップル」も多いかと思います。パワーカップルについては以前このブログでも取り上げました。

「夫婦格差社会」ー データから見る二極化する日本の夫婦像
http://atcafe-media.com/2013/02/12/powercouple_weakcouple/

パワーカップルの子育てについてはまだ世の中に出ている情報があまり多くないと思いますので、その意味でも貴重な本でした。

「子育て経営学」は、これから結婚する方、子どもを持ちたい方にもおすすめの1冊

本書を読むと、やり方次第では仕事も育児も同時に充実させることができるんだと気付かされます。

子育て中の方にはもちろん、これからキャリアをつくっていく学生や若手の方、結婚を考えている方、子どもを持つことを検討している方にも読んでほしい一冊でした。

読むと相当、理想とする水準が上がってしまいますが…私もできることからがんばりたいです!

以前、当ブログで紹介した「ワーキングカップルの人生戦略」も、共働き夫婦におすすめです。

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ABOUT ME
佐藤 茜
2歳児の子育てをしながら編集・マーケティングまわりで活動中。NPO法人ETIC.が運営するDRIVEメディアの編集長。 大学卒業後、人材系ベンチャーで新規事業立ち上げやマーケティングを担当。ニューヨーク留学、東北復興支援NPO、サンフランシスコのクリエイティブ・エージェンシーでのインターン、衆議院議員の広報担当秘書等を経験。 より詳しいプロフィールはこちらから↓
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