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4月に出産した息子は首が座り、寝返りもし始めたところです。日々どんどん成長していく子どもの脳の発達について、詳しく知りたいなと思っていたのですが、ぴったりな本が出たのでさっそく読みました。

脳研究者の池谷裕二さんの新刊「パパは脳研究者」です。
 
 

本書は、脳研究者の池谷さんが、第一子である娘さんの誕生から4歳までの成長を脳科学の観点から綴った、育児記録&脳の働きについての解説書です。

1つのコラムで1ヶ月分なのですが、1コラムが3〜4ページと短いので、子育て中で細切れ時間しかないパパママにも嬉しい構成。専門用語は少なく、出てきても解説がついているので、脳科学の予備知識がなくてもスラスラと読めます。
 
池谷さんは、お子さんの教育方針について以下のように書かれていました。

私が家庭教育で一貫して気を使ってきたのは、

①物事の本質や規則を見抜く「理解力」
②先を見越して準備する「対応力」
③未来の自分に投資する「忍耐力」

など、社会人にも必要な能力を、本人が自らの力で身につけるように導くことです。

 
また、単に知識を詰め込むだけの早期教育には懐疑的で、長期的にはほぼ効果がないと考えているとのこと。私も同感です。こういった教育方針に共感する方は特に本書から学ぶところが多いと思います。
 
 

幼児期の多様な経験が大切

 
子育てをするようになって、自分が子どもの時はどんな風に過ごしていたかな?と考えることが増えました。でも、3歳より前のことってほとんど思い出せないんですよね。

子どもにはいろんな経験をさせたいけど、どのくらい意味があるんだろう?とモヤモヤしていたのですが、この本にまさにこのテーマが出てきました。

確かに脳は発達中で、まだエピソード記憶が上手くできませんから、大人になった後、意識の上では経験を覚えていませんが、それは表面上のことで、幼児の体験は、体感として無意識の神経回路に残り、直感力や反射力を育むことにつながっています。

言われてみれば、私たち大人にも無意識の領域があって、自分では思い出せない経験も実は無意識に蓄積されていて、直感を作り出しているということは近年よく知られるようになってきました。

子どもも同じで、というよりむしろ大人以上に、まだ空白の多い無意識の領域に何を入れるか、というところが重要なんでしょうね。
 

プロ棋士が次の一手を思いついたり、ベテランの骨董屋が茶碗の価値を見抜いたり、そうした「直感」も、長年の経験から生じる自動的な反射です。経験が優れていれば、自然と優れた反射ができる人間になります。

だから、子育てにおいて大切なことは、子どもたちに「よい経験をさせる」ことだと言いきってよいと思います。例えば、恐竜の図鑑だけなく、博物館に足を運んで化石の実物を見せたり、プールだけなく、森林の渓流で水浴びさせたり、デジタル視聴ソフトだけでなく、本物の舞台や演奏、美術作品に触れさせたり、などなど……。

また本書によると、人間は生まれた時がいちばん脳細胞の数が多く、3歳になるまでにその70%がなくなってしまうそうです。その後、残った30%を一生使うことになるんだとか。

つまり赤ちゃんの時は、単純計算で一日あたり5000万個以上の神経細胞を捨てているということになります。脳細胞の大規模な取捨選択を行う大切な時期だということですね。

これを知ると、ますます幼児期に何に触れるかが大切だと感じます。私も子どもには多様な経験をさせてあげたいと思います。
 
 

インプットよりアウトプットを

 
池谷さんによると、脳科学的には読んだり聞いたりする「入力」より、しゃべったり書いたりする「出力」の方が重要だそうです。これは大人にとってもあてはまり、テスト勉強でも教科書や参考書を読むより、模擬テストを解いたり覚えたことを思い出したりする方がいいとのこと。

勉強において一番重要なことは知識の「出力」ー。これは脳研究者の間では有名な事実です。ところが、「出力」の訓練は、意外と皆さんしていない。どちらかと言えば、再読重視。

なので池谷さんはお子さんの教育においても、絵本を読み聞かせする「入力」より、自分で読む「出力」を重視していました。

お子さんは2歳になった頃から文字を読み始めていて、3歳からは毎日、日記を書いているそう。文字に強い興味があるお子さんで、自発的に覚えたそうです。さすが池谷さんのお子さん、賢いですね。
 
 

子どもが生まれて、時間の流れるスピードが変わった

 
脳科学とは関係ないのですが、池谷さんが書かれている、子育てと時間に関する記述もとても共感しました。

いよいよ2歳になろうとしています。2年間を振り返ると、子どもが産まれる前と後では、時間の流れるスピードが全く違います。よく、子どもの頃は時間がゆっくりと流れ、年をとるほど早く流れるようになるといいますが、娘と生活することで、私自身がまた子どもの時間間隔に戻ったようです。一日一日が輝くように充実していて、何より子育ての楽しさを実感しています。

子どもが1年を長く感じるのは、毎日新しい出来事がたくさん起こるから、という話を聞いたことがあります。私もまだ子どもが生まれて5ヶ月なんですが、なんだか子どもともう1年くらい一緒にいたような感じがします。

子育てをすることで新鮮な経験をたくさんするので、時間の感覚が変わったんでしょうね。なんだか得した気分です(笑)
 
その他、赤ちゃんが自分の鼻を絶対的な空間座標の原点として世界の見え方を理解していく話や、積み木遊びが脳の成長に有効な理由など、なるほどなぁと思うネタが満載でした。
 
 
本書は、イクメンパパによる子育ての記録であると同時に、脳の働きについての解説書でもあり、子育て中の方もそうでない方も楽しめる一冊だと思います。

出産祝いのプレゼントとしてもおすすめです。

私は10代の頃、池谷さんのデビュー作「記憶力を強くする」を読んで脳科学のおもしろさを知り、脳研究者を目指したことがありました。結局、研究者にはならなかったのですが、大学では神経言語学を専攻したりと、大きな影響を受けています。

あれから10年以上が経ち、池谷さんが書いた育児書を自分の子育ての参考にしているというも、なんだか感慨深いです。
 
また、今回の本がきっかけで、15年位まえにベストセラーになった池谷さんと糸井重里さんの対談「海馬 脳は疲れない」を読み返したのですが、これも脳の働きが分かりやすく書かれていて、とてもおもしろかったです。

糸井さんの感性と仕事の経験、池谷さんの脳科学の知見のハーモニーが素晴らしい一冊でした。

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About The Author

佐藤 茜

1984年福島県生まれ。大学卒業後、人材系ベンチャーで新規事業立ち上げやマーケティングを担当。ニューヨーク留学、東北復興支援NPO、サンフランシスコのクリエイティブ・エージェンシーでのインターン等を経て、衆議院議員の広報担当秘書に就く。NPO法人ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)パートナー。 より詳しいプロフィールはこちらから↓

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