社会

「社外同期」を持つということ 〜企業の垣根を壊した次世代新人研修「シェア研修」は次のステップへ〜

<“開かれた育成”を実現する「シェア研修ラボ」>

 
2012年頃からメディアにも取り上げられるケースが増えた「シェア研修」をご存知の方も多いことでしょう。今年はIT企業7社が合同で実施したこの新しい“シェア型新卒研修”が開放され、「シェア研修ラボ」として、企業の新人育成に対して開かれた交流の場となることが発表されました。

アイティメディア、イノベーション、オールアバウト、ガイアックス、マイネット、みんなのウェディング、モバイルファクトリーの7社がシェア研修で培った研修プログラムの企画・運営ノウハウを開放し、閉塞的になりがちな企業の新人教育に対して「開かれた育成」という新たな選択肢を提示する取り組み。個人的にも非常に注目しています。

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Photo by Ben Grey via Flickr
 

<「シェア研修」とはそもそも何なのか?>

 
「シェア研修」はもともと、アイティメディアとオールアバウトが共同で新人研修を行っていたことから由来しているようです。2012年はアイティメディア、オールアバウト、ガイアックス、マイネット、モバイルファクトリーの5社20名で第一期が実施され、2013年はイノベーション、みんなのウエディングの2社が加わって計7社40名で実施されているとのこと。

僕は新卒で人材系の会社に入社したのですが、そこでWEBマーケティングとともに人事・採用も兼任していた2008年〜2010年に「こういう研修ができたらいいなぁ」と一人で妄想していた内容に非常に近いです。

「シェア研修」校長でアイティメディア人事担当の浦野さんからこの話を聞いた時は「そうそう、こういうのがやりたかったんですよ!」と言いつつ、「あの頃実現したかったなぁ…」と少し悔しい気持ちになったことを今でも覚えています(苦笑)
 
新入社員にとっての「シェア研修」のメリットは、以下の4つが挙げられるでしょう。

1.社外同期・社外メンターができる
2.自社カルチャーへの理解度向上
3.自社同期との一体感が醸成される
4.研修にほど良い緊張感が生まれる
 
また企業(人事)側のメリットとしては、以下5点があるようです。

1.会場費用・研修費用の負担が少ない
2.人事の負担が分散できる
3.各社の持つコンテンツを学ぶことができる
4.講師を兼任する人事にとってスキルアップの場になる
5.自社の新入社員の強みや特長をより客観的に知ることができる
 
研修講師は外部からではなく各社の社員が講師になったり、研修会場も各社の会議室を持ち回りで利用したり…企業の垣根を壊した新たな新人研修として、今まさに実績を積み重ねている真っ最中だと言えるでしょう。

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Photo by Lotte Grønkjær via Flickr
 

<「社外同期」の重要性>

 
上記メリットはどれも重要なのですが、僕個人としては特に「1.社外同期ができる」こと、つまり“刺激し合い、切磋琢磨しながら一緒に成長できる仲間が社外にできる”というポイントが、すごく重要だと思っています。

社内のみに目を向けるのではなく、社会に対していかに価値を提供できるか。社内の仲間ももちろん大切ですが、社内の人脈だけだと、できることが限られてしまうのは明白です。またたとえば、世の中が目まぐるしく変化していく中で自分が所属する会社だけが取り残されていたとしても、気づかないということもあり得るでしょう。数々のリスクがあるにも関わらず、社会人になった途端に社外の人には会わなくなり、仕事のみに忙殺されてしまうという新人も多いのが現実です。

社外同期と刺激し合い、切磋琢磨しながら一緒に成長していくことは、まさにこれからの時代に必要なことだと言えるでしょう。
 
僕自身、仕事を精一杯頑張りながら、社会人4年目になるくらいまでは”社外同期”との関わりを積極的に持つようにしてきました。社外の若手社会人が集うさまざまなコミュニティにも身を置いてきたのです。日本最大規模の読書コミュニティとなった「読書朝食会”Reading-Lab”(通称リーラボ)」、朝食会ブームの先駆け的な存在である「ジョブウェブ朝食会」、若手社会人が集う「Share Field(通称シェアフィー)」などにおける同世代の仲間の存在は、これまでの僕の社会人人生を好転させてくれたと強く実感しています。

読書朝食会Reading-Lab(通称リーラボ)の様子

もちろん、若手だけ、同世代だけのコミュニティの課題もあるでしょう。「人」「物」「金」「情報」どれをとっても若手だけでは限界がありますし、身近なロールモデルがいなくて悩んだりするケースもありました。しかし、「若手」「同世代」という括りがあることによって、そのコミュニティが居心地の良いものになったのも事実。学校を卒業し、社会人になってすぐというタイミングだからこそ、そういうコミュニティに身を置くのはありなんじゃないかなぁと思うのです。
 
そして20代も終盤を迎えた今、僕にとってのネクストステップは「組織・世代を超えたコラボレーション」です。ソーシャルシフトの志に集い、共感で一緒に動いてくれる「東京ソーシャルシフトの会」の皆さんや、社会起業に対して資金提供と経営支援を行う「ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)」で一緒にパートナーをやっている皆さんなど、さまざまな専門性やバックグラウンドを持った仲間とプロジェクトに取り組んでいます。“切磋琢磨しながら一緒に成長できる、経験も年代もバラバラな仲間”と過ごす日々は本当に充実していますし、やりがいを感じています。

「東京ソーシャルシフトの会」の様子

 
今回発表された「シェア研修ラボ」には「入社2年目までの新入社員」という括りがありますし、「若手」「同世代」の社外同期ができるという点でも、非常に素晴らしい取り組みだと思います。ぜひ多くの方々に参加してみてほしいところです。
 
「シェア研修ラボ」によって、企業の垣根を壊した次世代新人研修「シェア研修」が次のステップへ進み、IT業界のみならず、日本企業全体の教育現場の活性化につながっていくことでしょう。ゆくゆくは「組織・世代を超えたコラボレーション」として、さらに大きな流れになっていくことを期待しています。

そんな第一歩となるであろう嬉しいニュースだったので、考えたことを乱文ながら書いてみました。シェア研修ラボ、何かしら力になれたらいいなぁ。

(浦野さん、小泉さん、仲さん、小出さん、いかがでしょう?笑 何かお手伝いできることがあればぜひおっしゃってください^^)

<参考記事>

ソーシャル時代の新人研修「シェア研修」とは
http://media.looops.net/kensuke/2013/04/08/sharetraining/

新入社員研修もシェアの時代、コラボレーション研修のご紹介
http://fresher.jp/column/list/columun003

かわいい新人には旅をさせよ~シェア研修の真意~
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120517/232224/

7社が新人研修をオープンにし、“開かれた育成”を実現する「シェア研修ラボ」
http://www.gaiax.co.jp/jp/news/press_release/2013/0813.html

 

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ABOUT ME
加藤 たけし
デジタルマーケティングのコンサルタント。民間企業の週3正社員&文部科学省 大臣官房 広報戦略アドバイザー(非常勤国家公務員)の官×民 複業中。慶應SFC卒。1歳児の父。育休7カ月。准認定ファンドレイザー。座右の銘:「ひとりじゃできないこと、みんなでやる。」より詳細なプロフィールや連絡先はこちら ↓
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